刃物の製造工程

刃物の製造工程

350年受け継がれた伝統の手技

弊社の刃物は、材料の選定から始まり、一つ一つ丁寧に作っており、こだわりの一本を作り上げます。お客様の御希望に沿った世界で一つの刃物を造ることも可能です。オーダーメイドに関しての詳細はお問い合わせください。お問い合わせはこちら

製造工程

鋼(はがね)・地鉄(じてつ)の選定

製作する刃物に合わせて鋼の大きさ、地鉄を選定します。

鋼(はがね)
炭素量が高く硬い材料で包丁の切れる刃の部分になります。出来上がる包丁の用途によって様々な鋼を使い分けます。
地鉄(じてつ)
炭素量が低く柔らかい材料で極軟鋼とも呼ばれています。硬く、脆い『鋼』と接合させて、強度を持たせるために使用されます。

鋼・地鉄成分表

成分 地鉄(%) スチール(%)
C(炭素) 0.08 1.0~1.2
Si(ケイ素) <0.2
Mn(マンガン) 0.35 <0.35
P(リン) 0.009 <0.03
S(イオウ) 0.02 <0.02
Cr(クロームm) 0.5
W(タングステン) 1.0~1.5
V(バナジウム)

鍛接(たんせつ)

形を整えた地鉄と鋼を重ね合わせ、かまど型の炉の中で約1200℃まで熱し、一気に打ち合わせて刃物の原型を打ち出します。
この時、地鉄と鋼の間に鍛接剤(たんせつざい)を撒きます。高温で溶けた鍛接剤が接着剤の役割を果たし、打ち合わせた際に火花となって飛び出し、鋼と地鉄の不純物や酸化鉄の被膜を取り除き、より良質な状態にする役目も持っています。
鍛接の様子はこちら

荒延し(あらのばし)・鍛造(たんぞう)

鍛接した刃物の原型を再び炉の中で熱して寸法に合わせて大きく打ち伸ばし、大まかな形と厚さを整えます。金属内部の粒子が細かく複雑になり刃物の切れ味の持続性、刃物の耐久性が増していきます。

焼きならし(やきならし)

炉の温度に気を配りながら表面の酸化鉄の被膜を落とし、刃物の表面を滑らかに仕上げていきます。この工程で更に金属の粒子が細かく複雑になり、より刃物の切れ味の持続性、耐久性が増していきます。

焼き鈍し(やきなまし)

鋼の組織を均一化するため、低温で刃物を熱して、あく藁(藁灰)の中で時間をかけて冷却してゆきます。こうすることで金属の中に溜まった内部応力(圧力や収縮しようとする力)や歪みが取り除かれてより強靭な刃物になります。

型ずり(かたずり)

必要な寸法より大きく伸ばした刃物をグラインダーなどの切削工具を使い、刃物の形へと削りだしてゆきます。

空打ち(からうち)

冷間鍛造ともいい、常温や僅かに熱した状態で打ち鍛えることで更に金属の粒子を細かくし、刃物に強靭さを持たせます。

黒皮除去(くろかわじょきょ)

鍛造した刃物の表面には酸化被膜(黒皮)が付いており、そのままでは焼き入れの際に鋼まで熱が伝わりません。表面を研磨して黒皮を除去することで焼き入れ性を向上させます。

焼き入れ(やきいれ)

熱した刃物を水や油の中に入れて急冷することで鋼が硬化し、よく切れ、切れ味が持続する刃物になります。しかし、焼き入れの際に高温になりすぎると鋼が脆く、切れ味が悪くなってしまうため徹底した温度管理のもとで行われます。

焼き戻し(やきもどし)

焼き入れをした刃物はそのままでは脆く弱い熱を加えて適度な柔らかさを持たせます。
そうすることで欠けにくくより実用的な状態になります。

歪取り(ゆがみとり)・クルイ取り

焼き入れの際、鋼の収縮で生じる歪み、クルイを銅製の小槌などで叩きながら丁寧に修正してゆきます。こうすることでまっすぐで、より扱いやすい包丁となります。

刃付け(はつけ)

回転砥石と呼ばれる機械で研いでいく際に摩擦熱が加わり、焼き入れした鋼が柔らかくなってしまうのを防ぐため水をかけながら丁寧に刃を研ぎ出してゆきます。この際に焼き入れで出来た黒皮も落としてゆきます。
刃付けの様子はこちら

研磨(けんま)

刃物の表面に切削痕が残っていると目に見えないゴミが溜まったり、水分が残り錆びやすく不衛生になってしまうため、エンドレスペーパー(回転式の紙ヤスリ)を使用し鏡面に近い状態まで研磨してゆきます。そうすることでより錆びにくく、衛生的な刃物になります。

柄付け(えつけ)

少しずつ微調整を繰り返しながら柄に対して刃物がまっすぐになるように柄を取り付けてゆきます。
この際に刃物と柄の隙間から水が入り込み、刃物の差し込み部分が錆びるのを防ぐため、隙間にエポキシ樹脂を流し込み、更に固定します。
柄付けの様子はこちら

完成・出荷

こうしてこだわりぬいて手打ちで作ることで『折れず、曲がらず、よく切れる』刃物となり、お客様にご愛用していただくに相応しい仕上がりとなります。

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